倒産経験社長の実体験ブログ

経営していた会社が20☓☓年に経営破綻。負債3億円以上で会社は破算で個人も自己破算、そんな倒産を体験した元社長による実話ブログです。倒産前から弁護士介入、裁判、免責許可までの手続きの実体験、流れや出来事、生活の様子などなどを綴ってます。

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倒産決断のタイミング

月末の資金繰りと危険信号のキャッチ

まずは倒産リスクが高まった状態を、しっかりと経営者が把握しておく事が重要です。長く会社を経営していますと、資金繰りが苦しい時も何度も乗り越えてきた経験もあり、今回も大丈夫と思いがちになります。そしてずるずると頑張ってしまい、気づいた時には遅すぎた、となってしまった時では遅すぎます。

10年好調でも、たった1年の不調で倒産へ

普段から内部留保を蓄え、借入も最低限に抑え、万が一の時でも債務超過による倒産ではなく「全ての債務を完済しても現金が残る状態」、これぞ理想的な会社経営です。もっと言えば無借金経営。

私自身が黒字倒産に近かった為、黒字か赤字かよりも、現金及び現金化可能な資産がどれだけ蓄えられているかの方が重要だったと思いました。黒字が続いているから業務拡大するのではなく、現金資産が増えているから業務拡大すべきです。どんなに黒字でも、現金資産が増えていなければ拡大しては行けなかったと思いました。

例えば在庫の資産価値の判断も重要で、試算表や決算上では仕入原価等で計算するかもしれませんが、現実的には「もしもの時に処分できる価格」で計算して現状を把握し、それに基づいた事業計画を立てていくべきだったと思いました。

倒産シグナル

例えば、ギリギリまで頑張ってしまい、すでに手持ちが500万とします。今月末に1,000万の入金があるが、支払いが1,500万あるので、手持ちの現金はほとんど無くなってしまいます。来月末も1,000万の入金予定があるが、支払いも1,500万あるので、来月中に500万を調達しないと来月末は支払不履行が発生してしまう。

借入残高も8,000万あるので、毎月200万の返済があり、今のままの売上と支払が続いていたら、再来月も500万足りず、その次の月も、次の月も、売上が上がる見込みが立たないとどうしようもない状態。

ここでメインバンクが3,000万とか融資してくれると、単純に5~6か月延命出来ますが、根本的な売上が回復しないと、毎月の返済額が増えるばかりで、また5~6か月後には同じ事態になってしまいます。いわゆる自転車操業の状態です。

これが続いている限り、資金ショートしそうなタイミングで融資が断られた時点で終わってしまいますが、5つも6つもの銀行から融資を受けていると、どこかの銀行の融資の返済が進んでいて、借り換え等々でタイミングよく融資を受けられて、知らず知らずに延命出来てしまう事も多いと思います。実際私もそうでした。

そしてその間に売上回復、経費ダウンさせながら立て直していく、というのが倒産前の最終段階に入っている状態と思います。無事に建て直せれば良いのですが、立て直せない場合は返済額が増える一方で、どんどん再建が難しくなっていきます。

私の場合は金額の単位がもっと大きかったですが、この文章を読んで「あー、はいはい、分かる分かる」と実感している中小企業経営者の方もいらっしゃるかと思います。

延命出来ている時点で、何とかなっており、なかなか倒産に踏み切れない状態でもあります。資金繰り表を作りながら、2か月後に危険だな、となると、それに合わせて銀行からの追加融資、借り換えの準備を進め、うまく資金繰りしていく状態です。

銀行融資が切れた時、そして「リスケ」決断の時

そして銀行融資が切れた時、「来月末は確実に〇〇〇万円足りない」という現実が訪れます。ある日、突然訪れます。単純に融資残高が売上の3カ月分、4か月分になってくると、銀行も融資に慎重になってきますので、それまでに立て直していないと、自転車操業の状態が続く限り、確実の「その日」が訪れます。

ある程度、苦しい状態が続いており、銀行からの新規融資も止まってしまったとなると、次の決断は「銀行への返済を止める」決断になります。いわゆる「リスケ」です。

これは大きな決断になります。なぜなら、一度支払いを止めてしまったら、まー当分の間は融資は受けれなくなりますので、自転車操業中であれば相当厳しい決断にはなってくると思います。さらに、複数融資を受けている場合、1行だけを止める事は難しいので、基本的には全ての銀行の支払いを止めるアクションが発生します。

余談ですが、一度リスケをした場合、再度通常返済に戻って1年ぐらい経過しないと融資は受けられない、と言われました。実際には分かりませんが、原状が返済できない状態ですので、もう想像できない程に先の話という印象でした。

今回の例で言うと、これで毎月の返済分200万が支出から減るので、あとは従業員のリストラ、経費削減等々で、支払いを1,000万以内まで絞っていく事になります。これで売上1,000万、支払1,000万となり、資金繰りが回る事となります。

数字上は簡単なようですが、実際にやるとなると大変な作業です。リスケ体験談については、また別途書きたいと思います。  

そして「倒産」が現実的になる日

銀行はリスケした、従業員も何名か解雇した、経費も極限まで削減した、社用車等も処分して現金化した、、、等々。何とか毎月の売上入金と支払いがトントンになったとしても、ギリギリの状態では「ある月にちょっと売上が落ちた」だけで倒れてしまいます。多少は自己資金や身内からの借入でカバーできたとしても、会社経営としては非常にもろい状態となります。

賞与もあります。決算に伴う出費、消費税納税、年末調整、定期的な労働保険の支払い、社会保険、これらの支払いに対する備えも必要ですので、やはり毎月ある程度はプラスのキャッシュフローが必要です。今回の例で言うと、売上1,000万規模でしたら毎月の支出は900万以内に抑えておきたいところです。

銀行リスケをし、従業員を解雇し、業績が落ちている状態でのこの状態ですので、それは大変です。残った従業員も肌で感じているでしょう。業種にもよりますが、繁忙期と閑散期に激しい差がある場合は、閑散期でも融資なしで耐えなければいけません。

そうこうしているうちにV字回復する企業もあるでしょう。でも、来月末は完全に資金が足りないな、という日がやってくる企業も多くあります。その時はもう覚悟を決めるしかないと思います。

なかなか相談できる人もいない現実

こうなると、実際に相談できる人も多くはいないかもしれません。基本、経営者は孤独です。私の場合は税理士へ相談しましたが、税理士も数多くのクライアントを抱えていますので、どこまで親身になって相談に乗ってくれるかはケースバイケースと思います。

最後に行きつくのはやはり弁護士事務所ですが、個人的には弁護士事務所に相談する前にある程度誰かに相談できた方が良いと思いました。弁護士事務所へ相談し、弁護士介入となると、即会社の現金は動かせなくなり、生活費を除いて個人の通帳からカードから全て没収となります。確か所持出来るのは99万までだったと思います。

収入もない状態で99万のみで、1年近くかかる破産裁判を迎える事になります。もちろんどこかの時点で就業する事は可能になりますが、まー大変な事です。とはいっても、私も含め、皆様それを乗り越えてきましたので、頑張るしかありません。私で良ければ相談に乗りますので、お問合せ頂ければとは思います。