倒産経験社長の実体験ブログ

経営していた会社が20☓☓年に経営破綻。負債3億円以上で会社は破算で個人も自己破算、そんな倒産を体験した元社長による実話ブログです。倒産前から弁護士介入、裁判、免責許可までの手続きの実体験、流れや出来事、生活の様子などなどを綴ってます。

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資金繰り② ~身内・知人から借入は要注意~

(倒産前の資金繰り①の続きですので、①から読まれると更に分かり易いです。)

身内・知人・友人へ(お金の)相談をする時の覚悟と必要な知識

まず、身内・知人・友人からお金を借りたら、その後に倒産してはダメです。借りてしまった場合は、最低半年以上、出来れば1年は倒産しない覚悟が必要です。
具体的には、身内等から資金調達して資金繰りを回避、その後、会社が立ち直り身内等へも返済完了したとすると、その「返済が完了してから」一定期間は倒産しない事が重要です。

身内から借りた以上は(1年は)倒産しない事が大前提

もしも身内からお金を借りたけど、結果的に倒産してしまった場合、身内への返済が出来なくなります。「いや、倒産する前に身内だけには返済するでしょ」と思った方も多いと思います。っていうか、私もそう思ってましたが、、、それがNGなのです。

仮にある程度会社にお金が残っていて、身内だけには返済してから倒産したとしても、後に管財人がその身内に請求する可能性が大きいからです。これに関しては様々な背景、状況、管財人により100%とは言えませんが、限りなく可能性が高いです。金額も丸々100%か?50%か?も状況次第ですが、結果的に身内の方に迷惑をかけてしまう可能性が大きいです。

また、倒産するにあたって弁護士へ相談、及び弁護士介入という流れになると思いますが、その時点で身内、知人に返済していなければ、弁護士相談後では絶対に返済させてくれません。

 

「優先弁済」と言います。

ネットで調べてみると「優先弁済」=ある債権者が債務者の総財産または特定財産から弁済を他の債権者に先立って受けること。」といった記述がありますが、イマイチ分かりやすく説明しているページがありませんでした。

分かりやすく言うと以下のような事です。
「倒産してしまう場合、当然多くの債権者が存在する事になります。銀行(融資)、取引先(買掛金)、不動産会社(家賃)の他、光熱費や通信費等の支払先まで、たくさんの債権者がおります。当然身内から借りた場合はその身内の方も債権者の1人になります。法律上、身内も銀行も取引先も、”全て債権者” というひとくくりです。よって債権者がたくさんいるにも関わらず、倒産前に身内にだけ返済してしまうと、他の債権者からすれば「うちも同じ債権者なのに、何で身内にだけ返済したのか?」という事になります。つまり不公平で ”優先的に身内にだけ返済した事” となり、これは法律上違法とみなされてしまう可能性が大きいです。」

倒産すると、倒産した会社の現金、売掛金、資産など、全て現金化されて破産財団という口座に集められます。そして、集まったお金を債権者で分配する事となります。これが全ての基本です。そのため、倒産前に身内だけに返済する事は基本NGとされ、返済した場合でも管財人からその身内へ請求が行くことになる訳です。そして身内に優先弁済されたお金は破産財団へ入れた上で、全債権者へ分配される事となります

よって、身内に借りたらしばらくは倒産してはダメという事です。身内に返済してから1年ぐらい経っていれば、さすがに大丈夫かなと思われます(一般的に)。

身内への借金は免責後も、、、

例えば親が戻ってこないのを前提に貸してくれた場合などはいいですが、友人などから借りて返せなかったら、人間関係も気まずくなります。そしてその後の裁判で免責(借金が0になる事)となった場合、法律上は友人への借金も0になります。

ただし法律上は0になっても、友人ですので実際には返さざる負えないのが現実でしょう。この辺りは気持ちというか、法律うんぬん以外のところでの話です。

と言っても破産後は生活だけでも精一杯ですので、しばらくはまず返せないでしょうから、かなり辛い現実となってしまいます。

よって

「身内・知人から借りるなら倒産しない事、不安であれば借りない事」

が重要となります。借りて返済した後、1年ぐらい経ってからの倒産であれば、優先弁済には該当しない可能性がありますが、例えば返済した翌月や、2か月後、3か月後の場合は、優先弁済に該当してしまう可能性が大きいと思われます。

私の場合、この事を知らずに弁護士事務所へ相談し、結果的には身内へは返す事が許されず、数百万の迷惑をかけてしまいました。ご注意下さい。借りたからには返した上で1年間は耐える事、または借りる段階で「返せないかもしれない」事をしっかり伝えておく事ですね。間違っても「もし倒産しそうになったら、その前に〇〇にだけは返すから安心して」などと言って借りないようにご注意下さい。